難聴亭日乗

つれづれなるままに その日ぐらし

ギドー

とても疲れていてとても眠いはずなのに眠れない明け方。

しばらく無になっていた。なんかあったとき、わかりやすく感情を表出できず無になってしまうのが私の一番めんどくさいところだと自覚している。失敗の一日だった。失敗したなあ、と思うと些細な色々が不安になる。余裕がなくなる。なにも喋れなくなってくる。それで人に気を遣わせてしまう。余計に自分のめんどくささが嫌になる。負の連鎖だ。

しかも余裕がないもんだから、普段なら「嫌だな〜〜」くらいで流せる話も、「は?無理すぎる。最低。邪智暴虐。Merde。カノッサの屈辱。空に浮かんだ青鯖」くらい思ってしまう。負の感情が研ぎ澄まされていた。ダメすぎる。以降は思考停止していた。何も考えられない。何も考えさせてはくれない。

 

寝る前に本を読む。久しぶりに中島義道『私の嫌いな10の人びと』を手に取る。

「笑顔の絶えない人」「みんなの喜ぶ顔が見たい人」……そんな「いい人」に出会うと、不愉快でたまらない! 共通するのは、自分の頭で考えず、世間の考え方に無批判に従う怠惰な姿勢だ。多数派の価値観を振りかざし、少数派の感受性を踏みにじる鈍感さだ。そんなすべてが嫌なのだ!
「戦う哲学者」中島義道が10のタイプの「善人」をバッサリと斬る。日本的常識への勇気ある抗議の書。

って感じの本だ。この人やっぱめんどくせえな〜とか思いながらぼーっと読む。気持ちが落ち着く。めんどくさいけど最高に人間してる。愛すべきめんどくささだ。世の中それぞれのめんどくささがある。濃淡も方向性もそれぞれ。

こういう読書をしてもいい。読み方もそれぞれ。っていうかやっぱ本読むっていいな。一連の感情のゴタゴタをなんとなく纏められるくらいには思考が回復してきた。あとはぐっすり寝て、しゃんと目覚めましょうね。