難聴亭日乗

つれづれなるままに その日ぐらし

笛育

十話くらい溜めていた『光る君へ』を一気に見て、最新話まで追いついた。二人の兄が相次いで病没し、いよいよ道長が政権の頂に立つときがきた。主人公のまひろは長らく何にもしていないけど、そろそろ動きあるかな。次回予告で一条帝に拝謁してたようなシーンがちょろっと見えたので楽しみ。

 

早野龍五『「科学的」は武器になる』読んだ。

 

帯に「世界的物理学者が語る 嘘に騙されない技術」と書いてあったので似非科学ツッコむ系の本かと思ったら違った。著者の自伝的な本。良いことがたくさん書いてある。

著者は多感な時期に素晴らしい先生に出会ってきた。大事だよなと思う。ヴァイオリンを習っていた著者が中学生のとき、「自分の演奏の個性、オリジナリティーとはなんだろうか?」ということを考え込んで、ある日のレッスンでちょっとアレンジをした演奏をした。そのとき先生に指摘された一言と、そこから教えられた真理の話がとてもいい。

 

 そこで、正確な言葉はちょっと思い出せないのですが、「あなたの弾き方には品がない」という趣旨のことを言われて、はっとさせられました。

 先生が求めるのは人間の品格であり、個性はもっと地道な積み重ねの先に、品格とともに身につくものである──。そんな深い真理を、たった一言で教えられた出来事でした。

 

このたった一言でそこまではっとできる中学生かなりすごいと思う。大抵は「どゆこと?!」ってなって終わりでは。でもほんとにそうなんだよな。地道に積み重ねていくしかない。間違いなく真理。

「品格とともに」というのもよくわかる。地道にやってきた人とそうでない人、品があるないという観点からすぐ判別できちゃう気がする。ずっと積み重ねてきた揺るぎない土台があるのかないのかという違いでもあると思う。

 

この「地道な積み重ね」というのともう一つ、「おもしろがる力」というのが大事だと書かれていた。

おもしろがる力を自分で訓練していくことで、伸ばしていく。つまらない要素や、できない理由は無限に探せますが、「ここがおもしろい」と思うところを大切にしていくことで、科学でもビジネスでも、自分の領域や可能性を広げることができるようになります。

 

おもしろがる力を伸ばしていってる人って魅力的なんだよね。楽しそうだし、開放的で良い。領域を広げるってそういうことなんだろうな。

私もいつまでも色んなことに「おもしろそー」と思っていきたい。思考の軽やかさ、年々失われていっているぞ。ヤバいヤバい。抗っていけ。