難聴亭日乗

つれづれなるままに その日ぐらし

氷る

昨夜、歩きながら考えごとをしていたら、知らぬ間に二時間ほど経っていた。散歩と思索は相性がよい。アリストテレスの逍遥学派を思い出す。

リュケイオンはフランス語 lycée「高校」の語源にもなっている。そぞろ歩いて講義はしないだろうけど。

 

長袖一枚だともう肌寒い。冷たい風に吹かれながら、ひと足早く、冬の寂寞とした詩が頭に浮かぶ。

ああ汝 漂泊者!

過去より来りて未来を過ぎ

久遠の郷愁を追ひ行くもの。

いかなれば蹌爾として

時計の如くに憂ひ歩むぞ。

石もて蛇を殺すごとく

一つの輪廻を断絶して

意志なき寂寥を踏み切れかし。

 

朔太郎の詩は相変わらず、焦燥と虚無とに疲れた魂に寄り添ってくれる。ああ吾れ漂泊者。

ぶつぶつ言いながら歩いていたので、すれ違う人は不気味だったろう。まあ普段から独り言えげつないんだけど。声に出すとやっぱ落ち着く効果あるのかな。

 

今朝は足が痛い。日頃の運動不足が顕著だ。頭はわりとすっきりしている。歩き疲れてぐっすり眠れたからかもしれない。いい天気だしお昼何か食べ行こ。