人間にとって、いや、生物にとって「死」とは何か。昔からよく考えてきた。答えなどわかりはしないが、ひとつだけ思うのは、「生」と「死」は表裏一体であり、同じく尊いものだということ。
ジョニー・デップ主演『グッバイ、リチャード!』という映画を見た。ガンにより余命半年を宣告された文学教授が、一瞬一瞬を「善く生きる」ために、これまでの真面目な生き方をぶち壊していく。
リチャードは「人生とは鳥のさえずり」だと言っていた。美しくも儚いものである、いう意味に聞こえた。高らかに歌え、愛を。自らの物語を。
生物は多種多様なれど、いつか死ぬことにおいて共通している。地球にだって終わりはくる。終わりのないものに、始まりもない。当たり前すぎるだろうか。しかし、そんな当たり前を噛みしめる人がどれだけあろうか。
過剰に「死」をタブー視するあまり、「生」をも見失ってしまってはいないか。
最後の場面でリチャードは、二股に分かれた道のどちらも選ばずに、ど真ん中の道ならぬ道を笑いながら進んでいく。つられて笑っちゃった。あーあ、人生だなあ。