「2、3万あれば大丈夫だよ」とか言われたときに、2万なのか3万なのかはっきりしてくれ!と思う。1万違えば全然違うぞ。それで焼肉行けるから。これと同じで「2、3個買ってきて」も困る。
いやでも私も全てに於いて細かいわけじゃなくて、なんならテキトーな物言い多いから人のこと言えないんだよな。「じゃあ2、30分後に」とか言っちゃう。人には人の細かポイント。
川添愛『世にもあいまいなことばの秘密』読んだ。
普段からSNSという魔境で様々なすれ違いを目にする。言葉とは本当に難しい。
普通名詞を含む文が「言い過ぎ」になっている例として出ていた「日本人はマナーが良い」みたいな(というかまったくこの)文で地獄のリプライが展開していたり、めちゃめちゃよくある。
これ、組み合わせがよくなかったんだな。普通名詞と「性質を表す述語」が組み合わされると、その普通名詞は「カテゴリー全般」という解釈がしやすくなる。組み合わされるのが「動作や単独の出来事を表す述語」だった場合はそうならない。
スポーツ大会観戦後、日本人サポーターが座席の掃除をしていた、という報道を目にして「やっぱ日本人はマナーがいいんだなあ」と呟いたりすると、「マナー悪い人もいますけど」みたいに噛みついてくるクソリプピラニアが集まってくる。でもそれ、曖昧な呟きというエサを与えてしまったがゆえでもある。
「日本人」という「カテゴリー全般」の話をしているんじゃないよ、あくまで「観戦していた日本人サポーターの人たち」の話だよ、と明確にしなければならない。なので組み合わせには気を遣って……
って考えると呟くのって全然気楽じゃない。何も言えなくなってしまう。ので、呟き程度ならそんなに意識せず、誤解を与えてしまったときには、「私はこういうつもりだったんですけど、こう書いて(言って)しまったので、そのように解釈なさったんですね、ややこしくてすみません」と説明できるくらいでいいのでは。もちろんハチャメチャに噛みついてくるヤツは無視でいい。
そんな説明ができるようになるためにも、かなり有益な本だ。
お笑い芸人のネタなんかも例に使われていて読みやすい。「表面的に現れない主語や目的後」の例で、アンジャッシュのコントが参照されている。
それと、とにかく明るい安村の「穿いてますよ」も出てきた。これ、英語の文では主語と目的語を補わなくてはならないので、イギリスでネタを披露したとき安村は「I'm wearing」と言っていたし、でもまだ目的語が欠けているので観客が「pants!」と叫んでいた。この話かなり記憶に新しい。もう言語学の本に取り上げられていてフフッとなった。
読み終わって気づいたけど、この本のタイトルも『[世にもあいまいなことば]の秘密』なのか『世にもあいまいな[ことばの秘密]』なのか曖昧だ!
こういう題名つけられるのオシャレだな。いつも書き終わった後に「あーこれでいっか」って感じでポンと題つけるので見習いたい。今回もそれでござい、悪しからず。