難聴亭日乗

つれづれなるままに その日ぐらし

4/24 アンジュルム和田彩花のビジュルム公開録音 4/25 モネ それからの100年 名古屋市美術館

 

 

名古屋駅からミッドランドスクエア シネマ2へ、地下から攻めても地上に出てみても行き方がまるでわからず、迷いに迷うのは方向音痴の宿命、慣れたもの。

日曜美術館「パリジェンヌというミューズ」の回をきっかけにビジュルムを聴き始め、すっかり毎週の楽しみになったこのラジオ番組の、今回が初の公開録音イベント、嬉々として美術を語る和田彩花さんを間近で見られるということで楽しみにしていた。

 

f:id:pppauline:20180502180612j:plain

 

はじまりから、ラジオでは伝わらぬだろう「美術手帳」の写真を披露してくれた。表紙が確かモネ、そして彼女の好きなマネもあった。どちらもフランスで買ってきてもらったものだそうだ。展覧会を楽しみながら、この手帳に雑感を認めている。ぎっしりと書かれた頁には、彼女が美術に触れたときの茫洋とした感覚が詰め込まれていた。

ポストカードを貼り付けた壁の写真も見せてくれた。これは以前3/17放送のラジオで「自分の感覚がわかる」「私の人間性の出る展覧会」だと話していた。油絵が多いわけでもなく、写真や、彫刻、版画など多岐にわたり、全体的な色合いが白と黒、たまに赤。

度々ラジオで語られる、チケットやポストカードを纏めているアルバム、その写真と映像も見せてくれた。ただ閉じてあるだけでなく、書き込みやデコレーションが施されていて、パラパラとページをめくる映像を見ているだけで楽しい。私もポストカードは気に入ったものがあれば買うし、半券も残してあるので、真似してアルバムに纏めてみようと思った。

 

名古屋市美術館副館長・深谷克典氏を迎えての展覧会レポートに移る。今回は、4月25日より同館にて開催される「モネ それからの100年」展について。なんだかよくわからんとなりがちな現代美術とモネとの繋がりが、理窟でなく感覚的にわかる、という話興味深かった。

美術の話がしたい!という気持ちの爆発なのか、何度か脱線しかけた場面もあった。深谷氏が一番好きだというセザンヌの話、それに食いつく和田さん、この続きまたいつか番組で聴けたら面白い。

 

f:id:pppauline:20180502180542j:plain

 

 

翌25日は名古屋市美術館へ。当初行く予定ではなかったのだが、展覧会レポートを聞いて興味が膨らみ、終電見送り滞在伸ばして朝一番で白川公園

 

半分寝ている頭に、ジョアン・ミッチェルが殴りかかってくる。絵具が飛んでくるようだ。やはりよくわからん。見ていくとわかってくるもんかね、とモネの絵の前をうろうろ。暗い、どんよりとした《サン=シメオン農園前の道》から、青空の《サン=シメオン農場の道》、そして風を感じさせる《サン=タドレスの断崖》へ。こうして観ていくと、なんとなく日傘を差す女の空へと通ずる道筋が見えてくる。

《海辺の船》での陸地に黄色、赤、青、緑と様々な色が使われていて、きらきらして綺麗だなあなどとぼんやり見ていくと、その先にはデ・クーニングの作品。またまたわからん。全部こんな感じだったらどうしよう、と不安ながら進む。

すると、不思議な作品が。ルイ・カーヌの《彩られた空気》、金網に色が塗られていて、いやもう塗られているいうか、色が浮かんでいるような。

 

どんどんと面白い作品が見つけられた。湯浅克俊の《RGB》と題された二点、光の三原則でそれぞれ摺られた和紙を重ねて、後ろから光を当てているそうで、見る角度によって色が変わる。横から見たときにおもしろすぎて「おおお」と声が出てしまった。

松本陽子《振動する風景的画面Ⅲ》は、ピンク色がモヤモヤっと広がっていて、最初に感じたのは「いい匂いしそう」だった。嗅いでみたいなあとか、あのモヤモヤの中に飛び込んでみたいだとか、そうして溶け込んだ自分を想像すると、なんとも官能的な味わいがある。

 

オマージュ作品など観て行くと気になる作家次々と、中でも一番気になったのが福田美蘭である。《モネの睡蓮》倉敷にある大原美術館中庭に浮かぶ睡蓮と、水面に映る工芸館とが描かれている。この睡蓮は、ジヴェルニーのモネの自宅から株分けされたものだそうだ。眺めていると、ゆらゆら落ち着く。もう一作品、

《睡蓮の池》も一瞬で心奪われた。都会の夜景に、テーブルが睡蓮の如く浮かんでいる。上部、ガラスに映る内観から、「窓」が意識される。しかしテーブルは夜景に浮かんでいるように見える。考えれば考えるほどぐるぐると混乱してしまいそう。単純に「綺麗」だという感想を抱けるから、眺め続けられるのだろうなと思った。

 

モネの作品では《霧の中の太陽》が気に入った。太陽、そして水面が本当に輝いているようだ。先日、三菱一号館美術館でルドン展を観に行ったとき、赤い木の枝に見惚れたのを思い出した。ぼんやりとした中の力強い赤、これに惹かれるのか。

 

f:id:pppauline:20180502181032j:plain

 

 

名古屋市美術館では、モネの展覧会はこれで四回目だと、公開録音で深谷氏が言っていた。モネは展覧会を重ねるごとに、その奥深さを増すのだとも。

片足踏み入れた段階で、まだその深さを感ずるには至らないが、とてつもなく広いのだということを、様々な現代作家に教わった。モネは幾度と観に行っているという方も、あなたのモネを広げに是非。