難聴亭日乗

つれづれなるままに その日ぐらし

あんたの時代はよかった

先週からずっとRainbowの『Rising』を聴いている。「Stargazer」と「Light in the Black」の最後2曲たまらん。昔聴いたときには長い曲だな〜くらいの印象だったけど、まったく長さを感じさせないしカッコいい。この時代のライブアルバムも欲しくなった。レコード屋BOOKOFFに探しに行こう。涼しくなってきたし行動力爆上がりじゃい。

 

増山実『ジュリーの世界』読んだ。

河原町のジュリー」と呼ばれる浮浪者の話は聞いたことがあった。でも徘徊していた時期とかそういうのは全く知らなかった。なんや河原町界隈に誰もが知るホームレスがおったらしい、くらいしか。60年代から80年代って、そんな昔だったんだ。

物語の舞台となっているのは1979年の京都・河原町界隈。私がぶらついていた2010年代の河原町界隈とはけっこう違う感じ。まあそれはそうか。お店や施設もかなり入れ替わってる。でも、昔からこの界隈はぶらつきたくなる魅力に満ちていたんだなとしみじみ。

懐かしい。OPAの中にあるBOOKOFFであれこれ見たり、友達と合流してチファジャ行ったり、からふね屋のでっかいパフェに挑戦したり。びっくりドンキーでご飯食べたあと三条名店街のジャンカラというのもよくあるコースだった。でもカラオケは蛸薬師通のレインボーが多かった。朝まで遊んで一蘭食べて帰った記憶もうっすらある。

古着屋やミリタリー服屋を見て回って、疲れて誓願寺んとこの広場(ろっくんプラザっていうんやね)で休んだり。寺町京極の入り口のサイゼリヤにもよく行って駄弁っていた。新京極公園でまったりしたあと自遊空間にビリヤードしに行ったりもあったな。「遊ぼう」となったらこの界隈が多かった。読んでたらそういう記憶がほんのり蘇ってきて懐かしすぎた。

 

第七話、1988年に京都市が国体を開催しようとしていて、それに伴い「浮浪者狩り」が行われるのではないかと話していた件り。新しい店、チェーン店なんかもどんどん増えて、街もどんどん明るくなっていってええやないですかという話で、主人公の先輩が「街から闇が消えることで、別の闇が広がっていくような気がするんや。うまいこと言えんのやけど、明るい闇、というのかな」と言っていた。こういうの、他にも何かで読んだ気がする。なんとなく鷲田清一『京都の平熱』かなと思ってパラパラ開いてみたけど「これだ!」って感じじゃない。「この世界の〈外〉」の話は近いとは思うんだけど。

でもほんとにね、闇をとにかく照らしゃいいって考えは浅薄だなと。でっかいイベントやるときに浄化作戦的なのやらなきゃいけないのわかるけど、闇を排して生まれてくるのは、まさに「明るい闇」で、それは単なる闇よりもずっと不気味で厄介だ。

 

みたいな話をしていると、よく太陰太極図がどうとか言っていた友人を思い出した。彼とも河原町でよく遊んだなあ。またあの界隈をのんびり歩いてあーだこーだ話したいものです。