難聴亭日乗

つれづれなるままに その日ぐらし

2022-01-01から1年間の記事一覧

日本史上最大の怨霊を巡る

初めての駅に降りたのに、なぜか見覚えがある。一度来たことがあったのか、それともどこかに似ているのか。そんな感じのJR坂出駅。 讃岐国に配流された崇徳院の史蹟を巡るため、坂出市にやってきた。昔はこのあたりが讃岐国の中心(国府)だった。府中という…

『東京ワイン会ピープル』

「ワインには、人と人を繋ぐ魔法のパワーがある」 映画『東京ワイン会ピープル』見た。原作は『神の雫』の樹林伸。主演に元乃木坂46の松村沙友理。 ワイン初心者の主人公(でも味覚は鋭敏)が、いきなりDRCエシェゾーご馳走してもらったり、その後ワイン会に…

壇ノ浦で舞った男

ついに壇ノ浦を迎えた大河ドラマ『鎌倉殿の13人』なのだけど、屋島がナレーションで終わらされて悲しい。まあ仕方ないか。 源義経の獅子奮迅の活躍に八幡大菩薩の姿を見る梶原景時、なかなか新鮮だ。まったく意見が合わず、嫌悪や嫉妬から頼朝へ讒言するイメ…

『メッセージ』

連休はどこにも出かけず、積読していた難しめの本にでも向き合おうと思っていたが、連日ふらふらと遊びに出てしまった。 コロナ以前ぶりに、古くからの友人と飲みに行けたのが嬉しかったので良しとする。 内臓よわよわなので、三日も飲みが続くと体調を崩す…

白い山

転勤で遠くに行ってしまう友人から、ボールペンを貰った。 彼はそれを、肌身離さずいつも胸ポケットに差していた。大きな仕事の前で緊張したとき、不安なときなんかに、これを握り締めると勇気が出る。そんな御守りのような品なのだと言っていた。 彼は初め…

羊文学『光るとき』

祇園精舎の鐘の聲、諸行無常の響あり。娑羅雙樹の花の色、盛者必衰のことわりをあらはす。おごれる人も久しからず、唯春の夜の夢のごとし。たけき者も遂にはほろびぬ、偏に風の前の塵に同じ。 『平家物語』の冒頭、誰もが知る名文である。学生時代に仕方なく…

『グッバイ、リチャード!』

人間にとって、いや、生物にとって「死」とは何か。昔からよく考えてきた。答えなどわかりはしないが、ひとつだけ思うのは、「生」と「死」は表裏一体であり、同じく尊いものだということ。 ジョニー・デップ主演『グッバイ、リチャード!』という映画を見た…

双六の賽

大河ドラマ『鎌倉殿の13人』第15回の放送終了後、Twitterでは「頼朝嫌い」がトレンド入りしたそうだ。 みんな大好き上総介広常が奸計にかけられ誅殺されたのだから無理もない。私の推しキャラでもあった。可愛いおじさんである。 鎧に結びつけていた祈願書の…

未来卵

「話したい」を我慢して暮らしている人がほとんどだと思う。なんでもかんでも話して伝わる人というのは稀だ。ある程度体験を同じくしていたり、知識を共有できていなければならない。 見てきたもの、聴いたもの。考えたこと、感じたこと。一年も経てば鞄にパ…

歴史

私は歴史の本を読むのが好きだ。最近では化学史の入門書を読んだ。身の回りで何気なく使っているあれやこれが、幾重もの知識と研究との産物であったと知る。 以来、いつものマグカップでコーヒーを飲んでいても、まじまじと見つめて「ほう…」と感心するよう…

食事

最近、毎日簡単な味噌汁を作るようにしている。土井善晴『一汁一菜でよいという提案』に影響されて、ご飯と味噌汁、それと漬け物。余裕があるときにもう一品。めんどくさがりな私でも続けられる。 というか、野菜やキノコ類を切って冷凍しておけば、それ放り…